あれからもう4年の月日が流れた……
トヨタから2021年12月上旬、「バッテリーEV戦略に関する説明会」の案内がメールで来た。会場となったのは、いまはなき大型自動車関連施設「メガウェブ(東京・お台場)」だ。

そのころ、コロナ禍、東京オリンピックの延期、そしてESG投資の嵐がグローバルで吹き荒れていた。ESG投資とは、従来の財務情報だけではなく、E(環境)、S(ソーシャル:社会性)、G(ガバナンス)も重視した投資のことだ。2015年のCOP21(第21回 気候変動枠組条約 締約国会議)で採択された「パリ協定」が引き金となり、欧州、米国、そして中国でESG投資が活発化。そのなかでEVが投資案件として注目されたという経緯がある。
「EV投資が遅れる自動車メーカーは負け組」といった風潮もあり、日本のメディアのなかにも日系メーカーが「EV戦略に出遅れ」と表現することもあった。
これに対して、自動車メーカー等でつくる業界団体の日本自動車工業会(自工会)では、目標は2050年カーボンニュートラルであり、それに到達するための道筋はさまざまあるという見解から「マルチパスウェイ」を提唱していた。

そんな矢先、トヨタはマルチパスウェイの一環として、次世代EVに関する説明会を開くという流れだった。
午後3時から始まった説明会の冒頭、豊田章男社長(現:会長)が2022年から発売する「bZ4X」を中心に話を始めた。そこにはbZ4Xを含めて横一列に合計5台のEVが並んだ。その際、発表会場にいた筆者は違和感があった。ステージ全体が狭く感じるからだ。
ところが、プレゼンテーションの途中で5台の後部の幕が下がると、なんとさらに11台ものEVコンセプトモデルが並んでいたから驚きだ。合計で16台である。

この時点での目標は「2030年までに30車種のバッテリーEVを展開し、グローバルに乗用・商用各セグメントにおいてフルラインアップでバッテリーEVを揃える」という説明だった。
現時点で量産されて(または量産計画を公表して)いるのは中国市場向けの「bZ3」や欧州市場向けの「C-HR+」「アーバンクルーザー」、そして日本も含めたレクサス「RZ」といったところだろう。台数目標としては、2030年のトヨタ・レクサスのBEVグローバル販売台数は350万台、このうちレクサスは100万台(北米・欧州・中国で100%EV)としていた。

だが、2022年以降にEGS投資の嵐は収まり、グローバル市場でEVに対する過剰投資を控える動きが広がった。欧州メーカーやアメリカメーカーはEV戦略を大幅に見直した。
トヨタとしても、マルチパスウェイのなかでEV戦略を修正しながら、現在に至っている。
















































