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モニターもなきゃ急速充電もない……がなんの問題もない! N-ONE e:のエントリーグレードは「EVの本質」を追求したクルマだった


TEXT:山本晋也

今の日本に必要なキャラクター

 そして、昭和世代の筆者がモニターレスのN-ONE e:をはじめて見たときに、思い出したのはソニーの初代ウォークマンだ。カセットテープで音楽を聴くための再生専用機としてウォークマンは生まれた。こうしたコンセプトはウォークマン以前にはなく、まさに商品名が示すように、「歩きながら好きな音楽を楽しむ」というライフスタイルを生み出した。

再生専用機となったのは、けっして技術的な問題からではないといえる。事実、ウォークマンが生まれる以前から、もち運びできる録音機として「デンスケ」なる商品群はあった。ウォークマンはあえて録音機能を省くことで、新しい使い方を提案したのだ。

前述したように、N-ONE e:のエントリーグレードもメーカーオプションで急速充電に対応させることはできるが、基本的には普通充電で運用することを想定している。

「自宅や職場での基礎充電だけでEVを利用することになんの問題もない」と知っているユーザーからすれば驚くような仕様ではないが、おそらく極々一部のEVオーナーだけが、こうした認識をしているにすぎないのが現状だろう。

いまだに「EVを利用するには急速充電は必須!」だとか「急速充電インフラが整備されなければEVは普及しない」といった主張を見かける。たしかに長距離を走るユーザーにとっては、それは事実だが、すべてのEVオーナーにとって急速充電インフラが必須というわけではない。

とくに軽乗用EVのように近距離をルーティン的に走るのであれば、急速充電よりも圧倒的に充電コストを抑えられる普通充電(基礎充電)がメインとなるのは当然の話だ。

そして、近距離ユースがメインであれば、カーナビも不要だし、急速充電ポートもいらない。そうした軽乗用EVのあるべき姿を、シンプルで使いやすいキャビンで表現しているのが、N-ONE e:のエントリーグレードである。

かつて、録音機能をもたないウォークマンは賛否両論となりながら、多くのフォロワーを生み出した。同じように、N-ONE e:のシンプルな仕様も「割り切りの美学」を感じさせる。これこそが、日本におけるEVの未来形であり、EVの普及を加速させる解のひとつといえるだろう。

山本晋也

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