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EV化だけじゃカーボンニュートラルは不可能! この先重要なのはハイブリッドとe-fuelだった


TEXT:琴條孝詩

<合成燃料(e-fuel)が切り開く新たな可能性>

e-fuelは炭素回収、クリーンな水素製造、燃料合成化学を組み合わせ、大気中のCO2を持続可能な燃料にリサイクルしたものである。製造時に大気中のCO2を回収し、燃焼時に排出されるCO2と相殺させることで、ライフサイクル全体でのCO2排出をゼロにできる。現状では超高コストなことなど、まだまだ課題も多いが、将来的な技術革新により、既存のICEをそのまま使用しながらカーボンニュートラルを実現できる可能性を秘めた燃料だ。

e-fuelは、世界中に存在する給油所、燃料輸送システム、エンジン技術をそのまま使用できるため、莫大なインフラ投資が不要である。これはとくに、充電インフラの整備が困難な発展途上国において重要な意味をもつ。

欧州ではポルシェが、アメリカではエクソンモービルやシェブロンなどの石油大手が、再生可能エネルギーを使ったe-fuelの研究開発に数十億ドルを投資している。とくにジェット燃料分野では、ボーイングやエアバスが航空会社と連携してe-fuelの実用化に取り組んでいる。

<ハイブリッド技術とe-fuelの有望な組み合わせ>

現在のハイブリッド技術は飛躍的な進化を遂げている。HV(ハイブリッド車)にe-fuelを組み合わせることで、電動化とICEの完全脱炭素化を同時に実現できる。電気モーターによる効率的な走行と、カーボンニュートラルなICE動力の組み合わせにより、EVを補完するだけの環境性能を達成する可能性も見えてくる。

とくに重要なのは、商用車や重機への応用である。長距離トラック、建設機械、農業機械など、電動化が困難で高出力が必要な分野では、ハイブリッド技術とe-fuelの組み合わせが有力な選択肢のひとつとなりえる。

現在、メルセデス・ベンツ、ボルボなどの商用車メーカーが、e-fuel対応ハイブリッドトラックの開発を進めている。これらの車両は、都市部では電気モーターで静かに走行し、高速道路では高効率エンジンで長距離走行を可能にする。

また、船舶や航空機分野でも同様の技術開発が進んでいる。海運大手は、e-fuel対応エンジンを搭載した次世代コンテナ船の開発を進めており、2030年代には実用化が期待される。

結論として、EVだけでは到底実現困難なカーボンニュートラルも、合成燃料(e-fuel)とハイブリッド技術という現実的で多様なアプローチにより十分実現可能といえよう。急成長を見せるカーボンニュートラル燃料市場と、世界各国の自動車メーカーの本格的な取り組みにより、ICE車やHVも含めた包括的な脱炭素化戦略が現実のものとなっている。これらの技術革新によりカーボンニュートラル目標も、じつは決して夢ではないと期待したい。

琴條孝詩

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