多くの非自動車メーカーがEV市場に参入
EVは内燃機関車を作るよりも簡単のクルマが作れるのが最大の特徴。それゆえに、自動車産業以外からの新規参入も多いカテゴリーだ。「ソニー」や「シャープ」など、電気/電子系やIT系のメーカーが近年、EV市場への参入を正式に発表している。こうした話は、コンセプトモデルや将来構想というレベルでは、随分前から国際展示会・見本市、または各社の自社で開催するイベントなどで紹介されることがあった。
そしていま、各社は量産に向けた準備に入ったわけだが、そこにユーザーとしてどんなメリットがあるのだろうか?
まず触れておきたいのは、なぜ非自動車メーカーのEV参入が目立つようになったのか、という点だ。そこには自動車産業を取り巻く技術的な環境の変化がある。2010年代半ば、ドイツのメルセデス・ベンツ(当時ダイムラー)がCASEを提唱した。通信によるコネクテッド、自動(自律)運転、シェアリングエコノミーを活用した新サービス、そしてEVに代表される電動化のことを指す。
それが2010年代後半になると、ESG投資の嵐がグローバルで吹き荒れた。従来のように財務状態だけではなく、環境、ソーシャル(社会性)、ガバナンスを重視した投資のことである。このトレンドによって、一時期はやや停滞気味だった自動車メーカー各社のEV投資が活発化し、また非自動車メーカーでもESG投資を念頭としたEV戦略を描くようになったといえる。
それぞれのメーカーに「勝ち筋」がある
ただし、非自動車メーカーといっても、クルマや交通と縁のないような事業者はほとんどいない。自動車産業界でいうティア1(大手部品メーカー)や電子関連などのシステム開発を請け負ったり、または半導体メーカーなどだ。衣料業界や飲食業界でも事例があるように、下請けから脱却して自身でメーカーになろうという発想もあるだろう。
仮にそうだったとしても、非自動車メーカーとしては、従来の自動車メーカーと対抗した場合の「勝ち筋」があるはずだ。その「勝ち筋」こそ、ユーザーサイドから見れば、これまでのクルマにはなかった新しいサービスだったり、またはメリットだったりする。
現時点で、そうした非自動車メーカーが新サービスを始めていないため、具体的なサービス内容は提示できないが、その多くはデータ活用に関わる領域だと推測される。
データの活用方法として、各種の店舗を活用するリアルワールドもあるだろうし、またバーチャル領域での展開での事業拡張にも期待がかかる。
そうとはいえ、「クルマ(またはモビリティ)✕社会」という世界観において、自動車メーカーにしろ、非自動車メーカーにしろ、事業性が確保できるビジネスの数には限りがあるはずだ。
ユーザーにとって、オーバークオリティになるようなビジネスはけっして長続きしないだろう。非自動車メーカーにとって、EV量産から本格的な普及を目指すなかで厳しい戦いが待っていそうだ。
そうして吟味されたサービスは、きっとユーザーにとって日常生活のなかで大きなメリットをもつに違いない。











































