BYDのエントリーモデル、ドルフィンがいよいよ日本で発売される。
フォルクスワーゲン ゴルフに近いサイズ感のコンパクトEVだが、充実した装備や乗り心地、空間の巧みな使い方には高い商品力が感じられる。
果たして、ドルフィンはEVのコンパクトハッチ界を掻き回すキープレイヤーとなれるのか。
自動車ジャーナリスト・小川フミオが解説する。
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| Vol.1 | BYD「ドルフィン」は日本製EVの脅威となるか。中国発の最新コンパクトハッチに国内試乗 |
| Vol.2 | BYD「ドルフィン」で感心した3つのポイントとは。中国発の最新コンパクトハッチに国内試乗 |

兄貴分に負けないドライバビリティ
BYDは、2022年に約180万台のBEVを販売。2021年は60万4000台だったのに対して、ものすごい、とつけたくなる飛躍的な数字だ。
実際、2023年9月の「IAAモビリティ」自動車ショーでも、大きなブース面積を専有。アウトバーンのチャージャーの前にいると、BYDモデルでやってくるドイツ人消費者にも出会った。
欧州人は実務的なひとも多く、バリューフォーマネーだから選んでいるのか。と、知らなかったら、私は思っていたかもしれない。
実際は、ドルフィンに乗ると、たいへんよく出来ているのに感心するほどだ。
ATTO 3も、ドライバビリティが高いクルマで、動力性能と操縦性がともにいい感じのレベルに達していた印象だが、ひとつ下のドルフィンも負けていないと思う。
BEVの多くにみられるように、重量物を床下に搭載しているので、重心髙が低く、ハンドルを動かしたときの車体の追従性はよく、カーブを曲がるときも安定している。
310Nmのトルクがさっと出るため、加速の“つき”がよくって、さっと曲がるし、さっと加速するので、ドライブしている自分との一体感がある。
といっても、足まわりの設定は硬いいっぽうでない。ふわりふわりといえばいいのか、路面への追従性は高いうえに、凹凸は丁寧に吸収。高速道路でもしなやかに感じられて、気分がよい。
ゴルフクラスのハッチバックで、比較的コンパクトだけれど、乗り心地のよさは印象的だ。車重は1680kgと軽くないが、重さを活かして、重厚な雰囲気すらあるのだ。設定がうまい。
加速はがんっと車両が飛び出していくような暴力性は抑えられていて、最新のBEVらしく、うまくしつけてある。つまり、ICE(エンジン車)から乗り換えても、違和感はおそらくまったくないだろう。












































