雨などでモータールームが濡れることは織り込み済み
EVのモータールームは全体が電気系パーツのようなものであり、基本的に高圧洗浄はNGだ。
洗車の極意は見えないメカまできれいにすることにあり……という格言は、筆者が思いついたものだが(笑)、愛車を大事にするオーナーや洗車マニアであれば、ボンネットを開けてエンジンルームを洗うという行為もけっして珍しくはない。
エンジンに洗剤をかけて汚れを浮かし、高圧洗浄でシャーっときれいにしている映像を、SNSや動画サイトで見かけると、真似したくなるものだ。
EVを愛してやまないオーナー諸氏であれば、エンジン車と同様に、EVのボンネットを開けてエンジンルームを洗いたいと思うだろう。
いや、EVにはエンジンが搭載されていない。フロント駆動であれば、ボンネット下は「モータールーム」と呼ぶのが適切だ。
それはさておき、一般論でいえば、高電圧・大電流の流れる電気部品に水はご法度……ではあるが、EVの場合は雨のなかで充電器につなぐこともあれば、少々の水たまりを走ることもありえる。当然ながら、自動車メーカーはそうした状況も想定して設計している。
日産リーフの冠水路試験といった映像や画像を見かけることもあるが、多少濡れたくらいでモーターやインバーターが壊れてしまったり、バッテリーから漏電したりするようなことはない。モータールーム内を濡らすことが厳禁というほどではない。
しかしながら、モータールームをエンジン同様に高圧洗浄していいのかといえば、自動車メーカーの公式見解としては「No」となっている。それは、高圧の水は細かい部分まで侵入するなど想定外といえるからだ。
モータールームを高圧洗浄することは基本的に禁止
たとえば、日産のEVに関する取扱説明書を見ると、サクラ、リーフ、アリアのいずれにおいても「洗車するときは、モータールーム内に水をかけない。電気部品の故障などの原因になるおそれがあります」と明記されている。
トヨタbZ4Xの取扱説明書でも、「モータールーム内に水をかけないでください。電気部品などに水がかかると、車両火災につながるおそれがあり危険です」といった注意書きを確認できる。
エンジンルームであれば、ヒューズボックスなどポイントとなる電気系パーツを濡れないようにカバーすれば、あとは高圧洗浄しても大丈夫という人もいるが、EVのモータールームは全体が電気系パーツのようなものであり、基本的に高圧洗浄はNGというのが、国産自動車メーカーの立場といえそうだ。
輸入車ブランドでいうと、フィアット500eの取扱説明書では、「モータールームを洗浄する必要がある場合は、高圧の水がモータールーム内のヒューズボックスに直接当たらないようにしてください」と書かれている。エンジン車と同様にヒューズボックスをカバーすれば、高圧洗浄しても大丈夫と理解できる表記だが、わざわざリスクを負ってまでモータールームを濡らす必要があるかといえば、筆者個人としては疑問だ。
どうしてもモータールーム内の汚れが気になるのであれば、洗車用ブラシなどでホコリをはらったり、硬く絞った雑巾で拭いたり、と電動ユニットを濡らさないようにしたい。また、オレンジ色の電線は高圧の電気が流れているので、間違っても引き抜いたり、切ってしまったりしないよう細心の注意が必要だ。
そもそも経験的に、EVのモータールームはオイルが吹いたりすることがないので、エンジンルームほどに汚れない。こまめにホコリを払うくらいの清掃レベルにとどめておくことをオススメしたいと思う。
山本晋也





































