2023年9月
TEXT:小川フミオ
カーボンニュートラルを10年早く実現するにはどうすべきか、メルセデス・ベンツ本社会長の意欲とは

「パリ協定よりも早いカーボンニュートラル化を見据えて、数々の技術を整える」とオラ・ケレニアス取締役会会長は話す。それは先駆者としての矜持からの言葉だった。 2050年より早く メルセデス・ベンツ日本は、2023年8月にBEV「EQE SUV」シリーズを発表・発売。このときドイツの本社から、オラ・ケレニアス取締役会会長が来日した。 2022年2月1日に、これまでのダイムラーから、メルセデス・ベンツ・グループに社名を変更。 そのとき、ケレニアス会長は「電動モビリティと車載ソフトウェアを重視することで、創業者の遺産を継続したいと考えている」と発言したと報じられた。 これからBEV(バッテリー電気自動車)を中心に、カーボンニュートラル化を進めたいとするケレニアス会長による、EQE SUVシリーズ発表会時の発言は下記のとおり。 「私たちは、2050年のカーボンニュートラル化に向けた目標設定をしています。これは(地球温暖化対策の国際的な枠組みである)パリ協定から導き出した目標です」 「もし、化石燃料に依存するプロダクトを手がける企業だとしたら、このような目標設定をする必要があります。私たちのばあいは“Ambition 2039”(バリューチェイン全体でカーボンニュートラル)を設定しました」 「2050年より10年早く脱炭素化をはかりたいというのが、私たちの考えです。そのためには、2020年代にやるべきことが多々あります」 「そこで私たちは、製品ラインナップや、それを支える技術の数かずを整えて、市場に提供しようと考えています。もし市場が受け入れてくれる用意ができたなら、そうします」 「私たちは、2020年代の終わりまでに、すべてのラインナップを電動化します。2023年第2四半期におけるグローバルマーケットでのメルセデス・ベンツのBEVの売り上げは、前年比123パーセント増です」 「23年上半期のBEVのセールスは、つまり、倍になりました。私たちはいまいきおいに乗っているといってもいいでしょう。EQE SUVは、BEV化促進のカギになります」 世界的に追従されるほどに日本法人は革新的 「日本法人がやることは、革新的です。日本で最初に実施された施策が、追って、世界的に実施されることもよくあります。そのひとつが、EQシリーズの専売拠点設置です。ひとつはすでにオープンしていて(横浜)、もうひとつはまもなくオープンの予定です(青山)」 「充電システムの構築についても、私たちは考えています。2030年までに世界の主要市場において、1万基以上の高出力充電器を設置する計画です」 ケレニアス会長がスピーチをした、EQE SUVシリーズ発表会場では、モニターに「日本でもMercedes me Chargeを活用した日本への導入も検討中」と表示された。 「むかしの図式だと、自動車会社が製品を作り、エネルギーはエネルギー会社の担当でした。しかしそれとはちがうプローチをとるのです。私たちは世界規模でインフラ構築に多額の投資を行うと、すでに発表しています」 2023年1月5日に、メルセデス・ベンツは、上記のケレニアス会長の発言にあるように、世界の主要市場にBEV用高圧充電器を整備すると発表。 たとえば北米では、「MN8エナジー」と協力。総投資額10億ユーロ以上を使って、400以上の充電施設を新設し、2500基以上の高圧充電器を設ける計画という。 「日本でのメルセデス・ベンツのオーナーは、私たちがサポートします。日本法人の経営陣と話しをしています。今年(23年)後半により具体的な内容を発表します。充電への投資を開始する予定です」 「何百万台のBEVは、巨大な蓄電池になるととらえることもできます。これを発電や給電のグリッドシステムとして機能させることもできるのではないでしょうか。EQE SUVには、(日本法人からの要求をいれて)給電システムを搭載しました。クルマのなかに小さな発電所があるという考えはおもしろいと思います」 「メルセデス・ベンツ・グループは、太陽光発電の大規模なプログラムにも投資をしています。欧州のいくつかの地域では、風力発電にも投資しています。つまり、私たちはある意味、エネルギーを自給自足できているのです。これまでエネルギーは独占的なものでした(それが変わるのです)」 「古いバッテリーをどうするのか。これも訊ねられる質問です。大きくて、重くて、多くの素材の集合体のバッテリー。使われているニッケルとかマンガンなどは、貴重であり高価です」 メルセデス・ベンツ・グループでは、ドイツにバッテリーリサイクルのためのクッペンハイム工場を作り(2023年内に落成予定)、そこでのリサイクル率は96パーセント以上を目標にすると発表。 「クルマを含めて、ほぼ完全なリサイクル化を確立すべく技術を確立してきました。車両に使う素材を循環経済に組み込むことにも取りこんでいます」 <了>

TAG: #EQE SUV #メルセデス・ベンツ #戦略
TEXT:生方 聡
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

TAG: #ID.4 #VW
「Power Exporter e: 6000」(photo=本田技研工業)
TEXT:福田 雅敏
エレキギターも良い音が出せる!……ホンダ、EV・FCEVとセットで使う給電機を発売[2023.09.07]

2017年のLUNA SEAのコンサートで実際に使用した機器の廉価版 メーカーに関係なくあらゆるEV・FCEVから電気を取り出せる 【THE 視点】本田技研工業(ホンダ)は9月1日、電動車両(バッテリー式EV・燃料電池車(FCEV)・PHEV)と接続して使用する可搬型外部給電器「パワー・エクスポーター e: 6000」を発売した。全国のHonda Carsにて購入が可能。価格は88万3,960円(税込)。 ポータブル発電機の開発でこれまでに培った独自の正弦波インバーター技術を採用。精密機器や楽器など、電気の“質”が求められる製品にも対応可能な電力を供給する。 EV・FCEV・PHEVといった電動車両と接続することで最高6kVAの電力を出力でき、平時はイベント・コンサート・レジャーなどにおける電源として、有事の際には避難所・小規模オフィス・店舗の非常用電源として活用できる。 現在販売している「パワー・エクスポーター 9000」に対して約10kgの軽量化を実現したほか、車両と接続する給電ケーブルの長さを1.2mから2.1mへ伸長するなど、使い勝手の向上を図った。 出力は100Vの電圧に加えて200Vに対応し、その両方を同時に使用可能。家電はもちろん、より大きな電力が必要なオフィス用エアコンや店舗用冷蔵庫なども動かすことが可能だ。 以前のイベントレポートで紹介した試作機がついに発売となった[詳細はこちら<click>]。出力が6kVAと、「9000」の9kVAよりも少し小さくなったが、価格や重量面でのメリットが増え、購入へのハードルが下がったと言える。 筆者の乗る「クラリティFUEL CELL」にも接続が可能だ。実は車両購入時に「9000」の購入も検討したが、本体重量がおよそ50kgと重く値段も高価(税込120万1,750円)だったことから購入を諦めた経緯がある。 2017年のことだが、ホンダは「クラリティ FUEL CELL」の電力を「パワー・エクスポーター 9000」を介してロックバンド「LUNA SEA」のコンサートで使用したことがある。SUGIZO氏のギターに電力を供給したようだ。会場は「埼玉スーパーアリーナ」と大きな会場だった。電気の質が音を左右するエレキギターの電力としてプロも納得の上で使用できることは、本品の完成度の高さを物語っている。 「パワー・エクスポーター」シリーズは、ホンダ車に限らず「トヨタ・ミライ」「日産リーフ」「メルセデス・ベンツ・EQS」などメーカーを跨いだEV・FCEVからも電力が取り出せるのが特徴。団体などで1台でも備えておけば、平時はイベントなどの電源として使用し、災害時は命綱になる。ビルのエレベーターなども動かせるかもしれない。活用方法は色々と考えられる。 ただ、1台の値が張るのがネックである。「CEV補助金」の対象にはなっているが(3分の1を補助)、現在、令和5年5月22日の到着分をもって申請受け付けが終了してしまったようだ。猛暑の夏はそろそろ終わるが、次は冬が到来し電力逼迫と共に大雪による災害が予想できる。補助金受付の早急な再開を検討してはいかがだろうか。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BMW、次世代EV「ノイエ・クラッセ」に次世代の自動運転プラットフォームを採用へ ……自動運転プラットフォームのAWSのシステムを採用する。このプラットフォームを用いて先進運転支援システムを開発するという。「ノイエ・クラッセ」は2025年に発売予定。 ★★横浜ゴム、グリーンエネルギーでEV用タイヤを生産 ……EV向けサマータイヤ「アドバン・スポーツEV」の生産を新城南工場<愛知県新城市>で開始。同工場には4月に太陽光発電システム(出力1.1MW)が導入済みで、その電力を使用して生産する。年間約599トンのCO2を削減できるという。 ★★ナビタイム、冠水を回避する機能を実装 ……1時間に30mm以上の降水の可能性がある場合、スマートフォン向けアプリ「カーナビタイム」上で「冠水注意地点回避ルート」を提案する機能を実装した。注意地点は全国3,600ヵ所に及ぶ。水大敵のEVに乗る際はぜひ活用したい機能だ。 ★トヨタ、「クラウンFCEVセダン」の右ハンドル仕様を初公開 ……スーパー耐久第5戦もてぎ<モビリティリゾートもてぎ/9月2日〜3日>の会場にて右ハンドルの日本仕様車を初公開した。同時にJAFも水素ロードサービストラックを展示し注目を集めた[詳細はこちら<click>]。 ★ボルボ、シンガポールにテックハブを開設 ……本施設は、2030年の完全電化メーカーを目指すために、ソフトウェア開発などを重点的に行なうグローバル・イノベーション・センターとして機能するという。 ★パイオニア、EV充電ビジネスを推進 ……ネクストドライブと「EV中放電制御システム」の開発でパートナーシップを結んだ。パイオニアは、同社のプラットフォーム「パイオマティクス・フォー・グリーン」を活用し、EVの充電状態や消費電力量を予測。そのデータを基に、ネクストドライブのコントローラー「アット」が充電機器を操作する仕組みをとる。 ★米ハイゾン・モーターズ、液体水素を使用したFCEVトラックの商用運転に成功 ……アメリカのFCメーカーのハイゾン・モーターズが開発した液体水素を使用するFCEVトラックが、540マイル(約870km)の営業運転に成功した。液体水素の活用について日本国内では、トヨタが「スーパー耐久シリーズ」に参戦している「カローラ」の内燃エンジン用の燃料としているが、FCでの利用はしていない。一歩先に行かれた形となる。 ★ヴォグゾール、英国内でのEV販売が好調 ……8月のEVの販売台数を公表した。ハッチバックの「コルサ・エレクトリック」は2,220台、SUVの「モッカ・エレクトリック」は6,062台を販売した。商用車であるバンタイプの「ヴィヴァーロ・エレクトリック」は、今年8月までに3,211台を販売した。いずれの車種も英国内の各カテゴリーで販売上位だという。 ★自動運転EVのチューリング、打倒テスラを掲げてエンジニアを募集 ……9月下旬から10月にかけて、東京・横浜・名古屋でエンジニア向けの採用説明会を実施する。同社の経営陣も参加する懇親会も開く予定だ。発行されたプレスリリースには「We Overtake Tesla」と毛筆で書かれたイラストが掲示されている。国産EV開発を加速する意気込みを感じる。 ★旭化成、台湾のEVバイクに樹脂部品を提供 ……中国Giken Mobilityが7月16日に発売したEVスクーター「Iso UNO-X」に樹脂製部品を提供。リチウムイオン・バッテリー用カバーに「ザイロン 443Z」、モーターカバー向けに「レオナ 53G33」を供給。旭化成の高品質な樹脂成形技術が評価された。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.07]

TAG: #EV活用 #THE視点 #給電
世界初公開された新モデル「センチュリー」。筆者撮影
TEXT:桃田 健史
トヨタ「センチュリー」のBEV化はありか?PHEVで登場も技術的にはFCV化も可能。

トヨタは2023年9月6日、都内で新型「センチュリー」を世界初公開した。従来のショーファーカーのイメージを刷新した。パワートレインはPHEV(プラグインハイブリッド)を採用。その意図と、今後のBEV(バッテリーEV)化・FCEV化の可能性は? 新モデルを追加という形 日本のショーファーカーの真骨頂であるトヨタ「センチュリー」に新モデルが追加された。 2018年に登場した三代目「センチュリー」は今後も、「センチュリー(セダン)」として継続して製造・販売される。 つまり、センチュリーがフルモデルチェンジしたのではなく、これまでとは別の顧客層に向けてセンチュリーの新たなる方向性を示した形だ。 パワートレーンは、シリーズパラレルプラグインハイブリッド(2GR-FXS 3.5リッター V型6気筒エンジン)を搭載し、エンジンまたはモーター動力で前輪を駆動、後輪を独立したモーターで駆動するE-Four Advanced(四輪駆動)とした。 車体構造はTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)のKプラットフォームを採用した。

TAG: #PHEV #センチュリー #トヨタ
TEXT:TET 編集部
次期MINIのEV版が発表! 新型「MINIクーパー」と「MINIクロスオーバー」が世界初公開

独BMWは、フルモデルチェンジした新型「MINIクーパー」および新型「MINIカントリーマン(日本名:MINIクロスオーバー)」のバッテリー電気自動車(BEV)バージョンを発表した。実車は9月5日に独ミュンヘンで開幕するIAAモビリティ2023で公開される。 デザイン一新、航続距離は300〜400kmを確保 まず、ラインナップの核となる3ドアハッチバックのMINIクーパーは、184hp/290 Nmの「クーパーE」および、218hp/330Nmの「クーパーSE」というラインナップで登場。0-100km/h加速はクーパーEが7.3秒、クーパーSEが6.7秒と発表されている。航続距離(WLTPテストサイクル)は、40.7kWhバッテリーを搭載するクーパーEが最大305km、大容量の54.2kWhバッテリーを搭載するクーパーSEは最大402kmとなる。 直流急速充電については、クーパーEは最大75kWまで、クーパーSEは最大95kWまで対応し、残量30%から80%までおよそ十分弱で充電可能とのことだ。なお、第5世代にあたる新型MINIでは、「クーパー」の呼称はこれまでのようにエンジン出力を示すのではなく、3ドア/5ドアハッチバックおよびコンバーチブルのサブネームとなる模様。 新型MINIクーパーのエクステリアは、新たにフラップ式とされたドアハンドルや、フェンダーフレアを排したフラットなデザインが特徴。フロントグリルはこれまでの六角形から八角形とされ、表情に力強さを与えている。また、特徴的な円形ヘッドライトにはアニメーション機能も付与され、インタラクティブな体験が可能となっている。 インテリアについてはダッシュボード表面が初めてテキスタイルとされ、温かみのあるデザインとなった。コクピット中央には直径240mmの円形OLEDディスプレイが設置され、速度やバッテリーの状態など車両関連情報に加え、ナビゲーション、各種メディア、電話、天気予報などの表示が可能。さらに、アイコニックなトグルスイッチも残され、見た目はそのままに重要な機能へのショートカットとして機能するようだ。 >>>次ページ MINIクロスオーバーはより長い航続距離を実現

TAG: #MINI #MINIクロスオーバー #発売前モデル
SDGs 氷上電気カート競技会 ERK on ICE(photo=日本EVクラブ)
TEXT:福田 雅敏
EVカートでアイスダンス……氷上EVカート競技「ERK on ICE」の申込みが9月9日まで

腕に関係なく参加が可能 日本EVクラブは、新感覚のEVモータースポーツ「第4回SDGs氷上電気カート競技会 ERK on ICE」を開催する。 筆者は第1回からこの「ERK on ICE」にスタッフとして参加している。「ERK on ICE」は、普段モータースポーツとは無縁のアイススケートリンクを使用し、電動レーシングカート(ERK)を滑るように走らせるイベント。普段味わうことができないクルマの挙動の面白さを体験できる唯一無二の機会である。 レース経験やテクニックに応じたクラス分けをしているため、経験を問わず気軽に申し込め、無理なく楽しめる内容となっている。3回目の開催となった昨年は、小学生や障害を持った方も参加し、氷上での新しいEVモータースポーツへの関心の高まりと同時に、裾野の広がりを感じた。

TAG: #EVカート #イベント #モータースポーツ
トヨタ「クラウンセダンFCEV」日本仕様。筆者撮影
TEXT:桃田 健史
これで「水素欠」しても大丈夫?クラウンFCEV右ハンドル仕様が初お目見え。JAFの水素ロードサービストラックも同時に登場

国が6年ぶりに改定した水素戦略。これを受けて、日本国内では水素を活用した新しい動きがいろいろ出てきた。水素を使う自動車では、燃料電池車のほかに、内燃機関で水素を使う水素燃料車の開発も進む。そうした中、水素ロードサービスカーが登場だ。 クラウン・セダン右ハンドル仕様を初公開 今度は、右ハンドルの「クラウンセダンFCEV」が登場した。 スーパー耐久2023年シリーズ・第5戦もてぎスーパー耐久5時間レースでの出来事だ。 とはいっても、コース上で決勝レースに出場したのではなく、グランドスタンド裏のイベントスペースで展示された。 新型クラウン日本仕様は現在、クロスオーバーが先行発売されているが、車系としてはこの他、セダン、スポーツ、そしてエステートの存在が明らかになっている。 このうち、セダンは2023年5月のスーパー耐久・富士24時間レースで世界初公開された。今回の展示車もそれと同じ車両だと思ったが、なんと右ハンドルの日本仕様であり、トヨタ関係者によると公には初公開であるという。 未発売のクラウン・セダンが展示されたことで、興味深々で車両の中を覗き込む観客もいたが、実は今回の展示で最大の注目ポイントは、クラウン・セダンの隣に置かれたトラックの方だ。

TAG: #CJPT #JAF #クラウンセダンFCEV #トヨタ
TEXT:小川フミオ
メルセデス・ベンツの最高責任者が語る「メルセデスの『最善』」と「脱炭素」の深い関係

「自動車業界の流れに乗り、ゼロエミッション化を目指す」―明確なビジョンを提言するケレニアス会長の視線は将来を見据えていた。 メルセデスが描く未来像 メルセデス・ベンツEQE SUVシリーズの日本発売にあたって、2023年8月25日に来日した、メルセデス・ベンツのオラ・ケレニアス取締役会会長。 同社の発表会において、日本におけるメルセデス・ベンツ車拡販のための戦略の数かずを述べた。下記はそのときの発言を紹介するものだ。 「私は将来にむかっての戦略を大きく二つに分けて考えています。ひとつは、自動車業界ぜんたいを変革している流れにしっかり乗ること。もうひとつは、将来のゼロエミッション化をめざすこと」 「完全なBEV化は2020年代に実現するかもしれないし、する必要があると私たちは思っています。そこで会社の体制を、BEV時代に即したものへ仕立てているのです」 「私たちは、そこで、10億ユーロの投資を行います。ただし、電気化は、たんにハードウェアの変更だけで成功するのではなく、企業じしんやビジネスの流れと歩を一にしています」 「車両のデジタライゼーションは、5年か10年そこら前の車両と較べてみても、ほんとうに驚くほど進んでいます。センシング技術や、AI(人工知能ソフトウェアスタックと日本法人のビデオでは翻訳)は、自動運転のために開発されてきましたが、それだけでありません。あらゆる点でデジタライゼーションが進みました」 「センシング技術と人工知能ソフトウェアスタックは自動運転と、そのほかのデジタライゼーションの技術は、自動車業界を、いってみればひっくり返しました。私たちはそこで思い出すのです。創設者である、ゴットリーブ・ダイムラーと、カール・ベンツのことを」 「創意ある発明をさらに再発明する。創始者の業績をここでなぞるような技術革新を行っていきたいと考えています。メルセデス・ベンツでは、2023年だけでも150億ユーロの投資をさまざまな分野で行っていきます」 「私たちが投資するのは、R&D、新技術、工場への設備投資、世界中のネットワークマーケティング、それに販売ネットワークです。私たちは、未来に向けて、リソースと資本配分を行っていきます。その点で業界をリードしていると思います」 脱炭素化へ、メルセデスの『最善』 「繰り返しになりますが、メルセデス・ベンツというブランドは、ユーザーの方々に価値を理解していただいています。ひとつは、さきのダイムラーとベンツという創始者から始まるイノベーションとテクノロジーにおける先進性です」 「もうひとつの価値は、私たちのプロダクトを欲しいと思う気持ちを持っていただいていること。最初のメルセデス・ベンツ車に乗ったときの特別な気持は他に替えがたいものです」 「メルセデス車のオーナーになったということで誇らしく思う方は少なくないでしょうし、実際にオーナーになっていただいたら、そのときから、メルセデスの家族なのです」 「メルセデス・ベンツは、たんにA地点からB地点への移動手段ではないと私たちは思っています。メルセデス・ベンツに乗って移動するという特別な体験を提供するプロダクトなのです」 「電動化の歩みを振り返ると、数年前に戦略的な決定を行いました」 ここで、ケレニアス会長は、発表会場にいるジャーナリストに、電動化のプランを書いたスライドを見せた。 そこにあったのは「2022年:生産工程におけるカーボンニュートラル」「2030年:市場が許すかぎり100パーセント電気自動車化」「2039年:バリューチェーン全体でカーボンニュートラル」という計画だ。 「戦略的な決定とは、数十年かけてビジネスを脱炭素化することです。それが長期的にみて、最善だと思えるからです」 <Vol.3へ続く>

TAG: #EQE SUV #メルセデス・ベンツ #戦略
「SOLATOカーシェア」(photo=レクシヴ)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EVならではの独立エネルギー稼働……レクシヴと太陽石油がオフグリッド型カーシェアを開始[2023.09.06]

カーボンフリーエネルギーを活用したEVカーシェアリングサービス 災害・緊急時は電力のデリバリーが可能になり人命を救える可能性 【THE 視点】レクシヴは9月1日、太陽石油向けにEVカーシェアリングシステムの提供を開始した。太陽石油の「SOLATOカーシェア」にレクシヴのプラットフォームを活用し専用のシステムを開発。オフグリッド型ソーラーカーポートで発電した電力でEVを稼働するカーシェアリングサービスを展開する。 2023年9月1日より愛媛県内にて開始され、今後は同県内における法人・自治体とカーシェアの実証に順次取り組む予定。レクシヴは今後も各企業や全国の行政と連携しながら脱炭素社会の実現に貢献していくという。ちなみにレクシヴは本実証において、「SOLATO」専用のEVカーシェアシステムおよびユーザー向けのウェブ・スマホアプリを開発した。 オフグリッド型ソーラーカーポートは、一般の電力系統から完全に独立して稼働する。太陽光発電なのでカーボンフリー電力となり、平常時はEV給電用として、災害時は非常用電源として活用が可能だ。 「SOLATOカーシェア」は、オフグリット型ソーラーカーポートを用いる点が最大の特徴だろう。今回の実証に導入した「日産・サクラ」はV2Hにも対応している。災害時などではソーラーカーポートが給電ポイントになるだけではなく、サクラからもV2H機器を介して施設に給電できるようになる。 電力が遮断された中で、必要とする施設・場所に「サクラ」が電力を届けるという活用方法も期待できる。生命維持のための機器はもちろん、通信機器や救助道具類を稼働するための電力をデリバリーするといった様々な活用法が考えられる。オフグリッド型ソーラーカーポートとEVの組み合わせは、緊急時に人の命を救える命綱になる可能性があるということだ。 ちなみに日産は、日立ビルシステムとの共同実証で、サクラの電力を使用しエレベーターを15時間連続稼働させることに成功している。「SOLATOカーシェア」は、本来のカーシェア事業以外にも導入メリットのあるサービスと言えそうだ。 レクシヴは、EVシェアリング立ち上げ支援サービスも行なっている。EVカーシェア事業者向けに、フルパッケージ型のEVカーシェアリング・プラットフォームを提供している。EV用充電器や電気工事の手配・EV調達・カーシェアリングの市場調査までサポートするという。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BMW、新型EV「iX1 eDrive20」を発表 ……コンパクトSUV「X1」のEVモデル。最高出力は150kW(204ps)。バッテリーの容量は64.7kWhで、航続距離は最大475km。11kWのAC充電に対応し、0〜100%までの充電を6.5時間で完了できるという。2023年11月から生産を開始する。[詳細はこちら<click>] ★★トヨタ、「ハイラックスFCEV」のプロトタイプを公開 ……日本でもヒットモデルとなっている「ハイラックス」を燃料電池車(FCEV)化した。水素タンクは3つ搭載し、航続距離は600km以上。「ミライ」のFCユニットを使用しているという。このプロジェクトはトヨタの英国子会社TMUKが行なった。 ★★メルセデス・ベンツ、「CLAクラス」のEVコンセプトを発表 ……「IAAモビリティ」にて発表。メルセデス・ベンツのエントリーグレードに位置付けられる。MMAプラットフォームを初採用した。800V電圧に対応し15分で400km以上の電力を充電可能。航続距離は750km以上(WLTP1)となるという。 ★★ルノー、新型EV「セニック E-テック」や新型か「カングー」のEVバージョンを発表 ……「IAAモビリティ」にて公開。「セニック」はコンパクトMPVであったが、発表された新型はSUVタイプとなった。モデル伝統のファミリーユース性を踏襲し、航続距離は620km(WLTP)以上になるという。2024年初めに発売予定。  新型「カングー」には従来のICEのほかEVが設定される。EVバージョンは航続距離265kmで、8年間または16万kmの補償付き。この期間中に容量が70%以下となった場合は無償交換になるという。 ★オペル、「ヴィジョナリー・オペル・エクスペリメンタル」「コルサ・エレクトリック」「アストラ・スポーツツアラー・エレクトリック」などを世界初公開 ……ドイツ・ミュンヘンで開催中の「IAAモビリティ」にて発表。「ヴィジョナリー・オペル・エクスペリメンタル」はクーペ風のボディを持つコンセプトモデル。  「コルサ・エレクトリック」は5ドアハッチバックモデルで、「アストラ・スポーツツアラー・エレクトリック」はステーションワゴンとなる。そのほか、小型EVの「ロックス・e-エクストリーム」と「ロックス・エレクトリック・カーゴ」も出展している。 ★ポールスター、ミニカーのホットウィールとコラボしたEVスーパースポーツカーを公開 ……コンセプトモデル「ポールスターシナジー」を発表。600以上のエントリーから3つに絞り、それらを融合したデザインを1分の1スケールのモデルとして発表した。デザインコンテストは今後も継続して行なっていくという。 ★ボルボ、パワーエレクトロニクスのスタートアップに出資 ……炭化ケイ素(SiC)技術を使用したパワーモジュール設計の専門「Leadrive」に投資する。ボルボは2030年までに完全電動メーカーになることを目標としており、基幹技術の一つとなるインバーターなどの技術開発を強化する構えだ。 ★JA三井リースとプラゴ、EV充電サービスの法人を共同設立 ……「株式会社プラゴサービス」を8月24日に設立。自宅だけではなく、生活環境一体をユーザーの充電スポットとみなす「マイ充電ステーション」の拡充を図る。また、再生可能エネルギー由来の電力をより取り入れることも目指すという。 ★テラモーターズ、群馬県大泉町と連携協定 ……EV充電サービス「テラチャージ」の導入を共同で進める。充電器を無料で導入できアフターサービスも24時間356日対応可能という点が評価され提携に至った。 ★Jvolt、EVの充電スポットに立ち寄りポイントを獲得できるサービスを立ち上げ ……スマートフォン向けアプリ「Volty」の事前予約を開始した。充電スポットへの立ち寄りで貯めたポイントは、提携先のサービスで使用可能。「ナナコ」「ファミペイ」「ポンタ」「T-マネー」「ワオンポイント」などと交換できる。 ★BMW、「ウルトラ・ジャパン2023」と「XM」がコラボ ……ダンスミュージックフェスティバルの「ウルトラ・ジャパン2023」に「XM」を出展する。展示ブースではミラーマテリアルと光が織りなす背景を前に「XM」の撮影が可能。また、イベントのラッピング仕様車が都内を走行する。 ★トヨタ、「TOKYOもしもFES渋谷2023」に出展 ……防災・減災をテーマとした啓発イベント。トヨタは給電機能を持つ電動車(プリウスなど)を出展し、災害時の活用方法などを紹介した。イベントには2日間で2,400人が来場したという。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.06]

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TEXT:小川フミオ
メルセデス・ベンツ・グループの新たな戦略とは。オラ・ケレニアス取締役会会長が語る

「EQE SUV」の発表を機に来日したオラ・ケレニアス取締役会会長は、メルセデスの新たな戦略を提示した。 日本におけるメルセデス・ベンツのBEV「EQ」シリーズにかける意気込み メルセデス・ベンツ日本は、2023年8月25日に、SUVタイプのBEV「EQE SUV」を日本で発表・発売。500キロを超える走行距離、スポーティなAMGモデルの設定、給電システムの搭載……と話題が多いモデルだ。 日本では、「メルセデス・ベンツEQE350 4MATIC SUV」が8月25日からデリバリー開始。認証の時期の問題で、もう1台の「メルセデスAMG EQE53 4MATIC+ SUV」は10月のデリバリーになるという。 全輪駆動方式を採用していながら、低負荷の走行時は、フロントモーターをクラッチを使って切り離して燃費向上に役立てるシステムを搭載。 走行性能、広い荷室による利便性、そしてモニターを3つそなえてのデジタライゼーションなど、いろいろと特徴の多いクルマである。 発表に合わせて、本国からオラ・ケレニアス取締役会会長が来日。EQE SUVへの期待にはじまり、日本におけるメルセデス・ベンツのBEV「EQ」シリーズにかける意気込みなどを熱く語った。 「日本市場がいかに私たちにとって重要か。ここで強調しても、しすぎることはありません。メルセデス・ベンツは、業界をリードする立場にあるプレミアムブランドという自負がありますが、いま変革の時期が来ています」 「私たちの顧客の方々を、ブランドのファンと呼ばせていただくなら、日本でも過去数十年にわたって、強固な関係を築かせていただいてきました。その方々は、テクノロジーの重要性も理解なさっているし、私たちがいま行っていることも評価してくださっている。いってみれば、共益関係にあると思っています」 「私たちは、日本法人のがんばりのおかげで、変革の時代にあっても強固な関係をユーザーの方とのあいだに作りあげてこられました。でも、いままさに変革が始まったところなのです」 新しい戦略6本柱 「自動車業界ではとても多くの出来事が同時進行的に起こっています。それを見据えて、数年前に、新しい戦略を立てるとき、私たちは6本の柱を作りました」 ここで、その「6本の柱」を解説しておこう。2020年に利潤をあげて経営基盤を強固にするためと、ケレニアス会長が発表したものだ。 ひとつは「Think and act like a luxury brand」。私なりに訳すると、「ラグジュアリーブランドとして考え行動する」。 2つめは「Focus on profitable growth」。利潤を出す企業として成長することにフォーカスする。 3つめは「Expand customer base by growing sub-brands」。サブブランドを使って顧客層を拡張する。 4つめは「Embrace customers and grow recurrent revenues」。顧客をうまく抱え込み、代替需要を喚起する。 5つめは「Lead in electric drive and car software」。電気自動車と、それにまつわるソフトウェアの分野で業界をリードする立場に立つ。 6つめは「 Lower cost base […]

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ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
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ニュース
2026年に登場を予定しているベントレーのEVを予感させるデザインスタディ! 伝統と電動化の未来をつなぐコンセプトカー「EXP15」を発表
価格・航続距離・パフォーマンスでテスラを圧倒!? 中国の巨大スマホメーカー「シャオミ」が作ったEV「YU7」がついにデビュー
2025年はBYD Auto Japanの設立3周年記念! お買い得な限定車「ATTO 3 Black Style」を 全国50台限定で発売
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コラム
カタログじゃわからないEVの本当の性能を一斉テスト! ノルウェーでマル裸になったEV各車の実力
小型で安くて長距離も乗れるって国産EVマジでヤバいぞ! ヒョンデ・インスターの選び方
パンダのエンジンルームにどうやってリーフのユニットを積む!? 初代フィアット・パンダのEV化に挑戦してみた【その3】
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インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
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試乗
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
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イベント
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
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