2023年9月
TEXT:加藤 ヒロト
ホンダのEV「e:NP1」はマイルドにもスポーティにもなる走り!来年からの新型車にも注目

中国市場におけるホンダの新型EV試乗記、これまでは内外装のデザインを見てきた。いよいよ走り出してみよう。「e:NP1」はどんな走りを披露してくれるだろうか。 快適性重視のマイルドな乗り味 肝心の乗り心地だが、これも非常に上々な印象だ。もちろん元の「ヴェゼル」ですでに完成度は高いので、あとはそこからどうBEV(バッテリー電気自動車)らしく味付けをおこなうかに焦点を置いたに違いない。 アクセルペダルとブレーキペダルの踏み心地は、昨今のホンダ車らしくスコスコ踏める感覚で、これがとても気持ち良い。全高はそれなりにある車だが、実際に運転してみても不安定感はなく、堅実な足回りの設計を感じた。この点に関してはヴェゼルより少しばかり向上している印象を受けた。 運転中に触るであろうハンドルのボタン類やエアコンの操作、ドライブモードの選択などももたつく反応はなく、運転への妨げは感じられない。ここが「先進性」をうたう車において肝心な部分で、せっかく数々の先進装備を搭載していたとしても、運転中にそれらの操作がストレスなくおこなえなければ本末転倒だと私は思うのだ。 やみくもに画面を増やし、ボタン類をすべてタッチ操作にするよりも、まずは基本的な操作において使用者にストレスを感じさせないことが「日常使いの道具としてのクルマ」で大事な点だろう。 加速感は申し分なく、アクセルを踏めば踏んだ分だけマイルドに加速してくれる。突然「ズドン」と来るような不快感はない。このあたりの制御を日本車はとても得意としているのだ。 BEVをさらに普及させたいのであれば、ガソリン車のドライブフィーリングとの違いを限りなく打ち消す必要がある。この観点から考えても、「e:NP1/e:NS1」が持つ違和感のない乗り心地はとても優秀だと感じた。 「運転しやすい」という表現を「面白くない」と解釈する人もいるかもしないが、決してそういうわけではない。 ちょっとスポーティーな雰囲気を味わいたければ、ドライブモードを「SPORT」に入れることで「NORMAL」よりも締まった走りを提供してくれる。元の車体設計の優秀さが功を奏しているのか、カーブを曲がる際も踏ん張りの効いたコーナリングを感じることができる。 「スポーツBEV」とまでは行かないものの、普通の街乗りに飽きたのなら、通常よりも少しスパイスの効いた走りも選べるというわけだ。良い意味で落ち着いており、気楽に運転できるBEVであるという印象を受けた。

TAG: #e:NP1 #e:NS1 #ホンダ
TEXT:桃田 健史
トヨタの全固体電池量産に向けた技術進化を実感。“夢の電池”ではなく、量産目前の現実味が。

トヨタが2027~28年頃を目途に量産する予定の全固体電池。愛知県内のトヨタ貞宝工場で、試作に向けた開発ラインを視察。想像していたことは少し違った印象を受けた。トヨタの真骨頂であるTPS(トヨタ生産方式)によるカラクリをじっくり見た。 化学の世界での最新技術を期待するも… トヨタが2023年9月中旬に愛知県豊田市とその周辺で、一部報道陣向け実施した「モノづくりワークショップ2023」。 その中で、注目の話題が全固体電池の開発ラインだ。 設置されているのは、貞宝(ていほう)工場。今回の視察では、同工場内で次世代電池普及版(バイポーラ型リチウムイオン電池)の開発ラインを見た後に、全固体電池の開発ラインを見るという順番だった。 現行のリチウムイオン電池(または次世代電池普及版等)が正極と負極がセパレーターを挟み、これらを液状の電解液で覆う構成であるのに対して、全固体電池は電解液の役割を固体で行うタイプの電池を指す。 一般的には、充放電の効率や、安全性が高まると言われてる。 今回の視察では、次世代電池普及版(バイポーラ型リチウムイオン電池)で、集電体に負極または正極を塗工する工程を見ており、「いかにも電池技術らしい化学の領域での最新技術」という印象があった。 そのため、視察のメインイベントというべき全固体電池の開発ラインでも、化学的な技術詳細が明らかになるのではないか。 そんな期待を抱いての視察だった。 だが、全固体電池の開発ラインはビニールの壁で覆われており、その内部に入ることはできなかった。 今回公開されたのは、加工された電池部品を組立てる工程のみだった。

TAG: #トヨタ #全固体電池
TEXT:加藤 ヒロト
中国でもホンダイズムは健在!電気自動車としても進化している「e:NP1」のインテリアとは

ホンダが中国で販売しているBEV(バッテリー電気自動車)の「e:NP1」。前回は外装にフォーカスをあてた。今回はインテリアに注目する。 「ヴェゼル」のボディに「ホンダe」の使い勝手を組み込む エクステリアがまさに「BEV版ヴェゼル」ならば、インテリアもその通りの印象を感じる。エアコンの吹き出し口から分かる通り、根幹をなすダッシュボード付近はヴェゼルと同一だ。 だが、車内を覗き込んで真っ先に目につく15.1インチのタテ型ディスプレイは「e:NP1/e:NS1」にしかない装備である。このディスプレイでナビ、インフォテインメント、エアコン、そして各種アプリケーションの操作を行うわけだ。 また、タテ型の特徴を活かして異なる機能を上下に同時並行で映し出せるため、例えばナビを表示しながらエアコン操作メニューを表示できるなど、実用性にあふれる設計となっているのも特徴だ。 大きめのディスプレイを採用する車種は大抵その反応速度に難があり、日頃使っているスマートフォンのようにサクサク動かない場合がほとんどだが、e:NP1/e:NS1のディスプレイはまったくストレスなく操作が可能であることも評価したい。ホンダeでも同様の印象で、インフォテインメント面におけるホンダの設計の優秀さを感じた。 また、セレクターがホンダeのようなボタン式になっているのもヴェゼルと異なる点である。ホンダのボタン式セレクターは押し心地が大変よく、またレスポンスも良いので個人的には高評価な要素だ。メーターもフル液晶となっており、まさにヴェゼルのボディにホンダeの使い勝手を押し込んだような車という印象を受けた。 室内空間はヴェゼルと変わらない印象だが、これも前回の記事で紹介したようにバッテリーの配置が関係していると思われる。フロア下に張り出す配置でキャビンを圧迫しないようにしているのだろう。 後部座席の足元は本来BEVでは不要なセンタートンネルの盛り上がりが少し確認できるが、気になるほどの高さではない。むしろ、ヴェゼルの時点でその盛り上がりはかなり抑えられており、比較してみてもその高さは両者間で同じのように見える。 これ以外にも内装パーツは多くがヴェゼルとの共通部品であるため、多少なりともコストカットに寄与していることだろう。

TAG: #e:NP1 #e:NS1 #ホンダ
バッテリキューブ(photo=日立製作所)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
トレーラー型の緊急用バッテリー登場……三菱・日立、使用済みバッテリーの再活用を事業化へ[2023.09.29]

EVで10年使用したバッテリーはその後20年間の使用が可能 V2X用のバッテリーに移動機能を加えれば活用方法が拡大 【THE 視点】三菱自動車と日立製作所は、電動車の使用済みリチウムイオン・バッテリーを活用した可動式蓄電池「バッテリキューブ」の共同実証を9月25日より開始した。「アウトランダーPHEV」に搭載されていたバッテリーを「バッテリキューブ」に搭載し、その実用性を検証する。 検証内容は、広域災害等による停電を想定し、日立ビルシステムのV2Xシステムと「バッテリキューブ」を「CHAdeMO」に対応したV2Hコネクタを介して接続し、日立標準型エレベーター「アーバンエース HF」を駆動するというもの。実績のあるV2H機能搭載の電動車からの給電に加え、バッテリキューブからの給電を組み合わせることで、災害時の継続的なバックアップ電源の確保を目指す。 三菱と日立はそれぞれ、電動車のバッテリーのリユースと「バッテリキューブ」を2024年度に事業化することを目指しており、双方が連携して企業や自治体などへの導入を推進していく。 また、再生可能エネルギーの有効活用に向けて、電動車や「バッテリキューブ」と太陽光パネルなどを連動させるエネルギーマネジメントの共同実証も行なう予定。さらに、電動車バッテリーを再利用するだけでなく、その後の再資源化も検討し、電動車のバッテリーのサーキュラーエコノミーの実現をめざす。 三菱はこれまでも、電動車バッテリーの寿命を延ばすことに加え、リユースバッテリの活用を進めてきた。2023年4月からは岡崎製作所(愛知県岡崎市)に「アウトランダーPHEV」の使用済みバッテリーを活用した自律型街路灯を設置し、実証実験を行なっている。 日立は、株式会社日立ハイテクとともに「バッテリキューブ」の事業化の検討を進めている。2023年6月にはセブンイレブン・ジャパンと連携し、バッテリキューブを「セブンイレブン三郷彦成2丁目店」に設置し、実証実験を開始している。また、日産の「サクラ」「リーフ」の電源でエレベーターを稼働させる実証実験も実施しており、緊急電源としてのEVの活用を模索している[関連記事はこちら<click>]。 今回登場した「バッテリキューブ」は、キャンピングカーのように牽引式なのが特徴。実証はエレベーターで行なうが、企業のオフィスや医療機関、そしてEVの“電欠のお助け隊”やイベント時の電源として、電気を必要とするあらゆる場面での活用が可能だろう。 このようなシステムが普及すれば、建物には「V2Xシステム」だけを備えれば定置型を持たずに済むことになる。必要に応じて「バッテリキューブ」に頼れば良いのだ。 複数の建物を所有する企業でも、これ1台さえ備えておけば建物ごとに低置型を設置する必要がなくなるのではないだろうか。V2Xに不可欠な蓄電池として備えておいても、緊急時にバッテリーだけを運び出せるメリットは大きいだろう。 リチウムイオンバッテリーの自動車での寿命はおよそ10年と聞くが、二次利用時にはそこから20年使えるという。このように自動車としての寿命を迎えたバッテリーが再利用できる用途は今後どんどん増えていくと思われる。先日のデイリーでも伝えたが、用済みでも生きているのだ[関連記事はこちら<click>]。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ホンダ、「N-VAN e:」をWEBで公開 ……「N-VAN」のEVモデルを公式WEBで先行公開した。助手席までフルフラット化できる室内の機能性を保持した上でフル電動化。最高出力6kWの普通充電に対応し、外部給電機能も持つ。発売は2024年春の予定。 ★★オムロン、マルチV2Xシステム「KPEP-Aシリーズ」を改良 ……2023年5月に発売した本製品の機能を向上した。太陽光発電や蓄電システムを備えている住宅に併設することで、EV・蓄電池・太陽光発電を統合的に運用することができる。 ★★メルセデス・ベンツ、自動運転レベル3がアメリカで承認 ……米カリフォルニア州/ネバダ州から認定を受けた。レベル3の自動運転に対応した「ドライブ・パイロット」機能を持つ「EQSセダン」を、2023年後半に発売するという。 ★富士吉田市で自動運転EVバスの実証実験 ……山梨県・富士吉田市で、ボードリーの小型自動運転EVバスの実証実験を行なう。走行ルートは富士急行下吉田駅〜旧外川家住宅で、期間は10月21日(土)〜11月10日(金)。 ★小型EVのベクトリクスと東京海上が協業へ ……ベクトリクス・ジャパンが10月1日に発売する三輪の商用EVバイク「I-カーゴ」のサポート体制を東京海上日動火災保険と構築する。整備ネットワークの拡充や専用の保険商品の開発などを行なっていく。 ★中部電力とアークエルテクノロジーズ、商用EVの充電マネジメントサービスを開始 ……EVの路線バスや配送トラックの運行計画や位置情報、電池残量などをリアルタイムで収集し、最適な充電プランを自動で組み立てるシステム「オプチャット」を開発した。急速充電の最適な活用による車両稼働率の上昇が期待できるという。 ★生協、福岡西支部の配送者を全EV化 ……一般社団法人グリーンコープ共同体に所属するグリーンコープ生活協同組合ふくおかは、福岡西支部の車両全48台をEVに置き換える。同支部はすでに、配送用のトラック36台と移動販売車1台をEVに置き換えている。 ★エネチェンジ、EVの充電時間を指定する社会実験を実施 ……電力シェアリング/サイバー総研と共同で実施する。エネチェンジのユーザーに指定時間帯での充電を促すことで、太陽光発電の余剰電力を活用し電力の安定化を図る実験となる。事前登録制で、9月28日(水)〜10月22日(日)の期間で1,000人を募集する。 ★テスラ、「モデルY」の特別試乗施策を実施 ……SUVの「モデルY」を2日間無料で貸出す試乗キャンペーン「ドライブ・ウィズ・テスラ」を実施する。応募帰還は9月27日(水)〜10月23日(月)で2組分を用意。宿泊先は「ホテル・ヴィソン」<三重県多気町>となる。  ▶︎リコール◀︎「日産・アリア」 ……駆動用モーターを制御するインバータに異常。警告メッセージの誤表示とともに走行不能になるおそれ。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.29]

TAG: #EV活用 #THE視点 #充電インフラ
ギガキャストの試作品(写真右)。プレス工程と溶接工程を必要とする従来品(写真左)と比べて工程数は一気に減る。出典:トヨタ
TEXT:桃田 健史
トヨタ「ギガキャスト」の正体を初公開の明知工場で見た。これからのクルマ作りには必須技術か

本格的なBEV(バッテリー電気自動車)普及に向けて、自動車メーカー各社の技術開発競争が熱を帯びている。 その中で注目されるのが、ギガキャストと呼ばれる鋳造技術だ。トヨタは23年6月公開の試作品に続き、その製造現場の様子を公開した。 ギガキャストに定義はまだない 鋳造に関する新しい生産技術「ギガキャスト」という表現を、2020年代に入ってから自動車産業界でよく耳にするようになった。 情報の出所は、大きく2つ。 ひとつは、テスラだ。BEV専業メーカーであるテスラにとっては、内燃機関を主体とする一般的な自動車メーカーでは実現しないような、大胆な発想を数多く持っている。 そうした企業としての姿勢は、商品開発のみならず、生産技術についても同様だ。ギガキャストも、そのひとつだと言える。 もうひとつは、中国企業によるギガキャストの採用だ。中国では2010年代からEVベンチャーが数多く創業している。まったくゼロからのスタートであり、さらに中国国内のみならず、グローバルから積極的に資金調達を行うためには、斬新な設計思想と、それに伴う大胆な生産技術が必要だったと言えるだろう。 そこに、ギガキャストが採用されたのだ。 ただし、こうしたギガキャストには様々な手法があり、国や地域の自動車技術会などで明確に定義付けされているわけではない。 トヨタは2023年6月上旬に、静岡県裾野市で実施した「テクニカルワークショップ2023」でギガキャストによって製造した試作品を展示している。 さらに、トヨタは2023年9月中旬に豊田市とその周辺にある3つの工場を舞台として、一部報道陣向けに実施した「モノづくりワークショップ2023」で、トヨタでいうギガキャストの試作用設備を視察した。

TAG: #ギガキャスト #トヨタ
WeCharge(photo=ユビ電)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
充電料金を“普通の払い方”に……ユビ電、「WeCharge」にkWh単位の課金方式を導入[2023.09.28]

“入れた分払う”という世の中一般の課金方式が拡大 超急速充電器が普及する前に支払い方式の見直しを 【THE 視点】EV充電サービス「WeCharge」を展開するユビ電は、従量課金方式の充電サービスを10月1日より開始すると発表した。特定計量制度の申請で受理された特例計量器を使用し、普通充電の電力量のkWh単位で課金する。 ユビ電が展開している「WeCharge」は、スマホアプリのみで利用手続きから充電・料金精算までを完結できるサービス。旅行先のホテルや商業施設などで「WeCharge」があれば、自宅のコンセントを利用するようにどこでも充電ができることが特長だ。 10月1日以降に「WeCharge」を導入する建物や施設に対して、特例計量器による設備を設置する。定格出力の固定値と利用時間を元に算出していた従来の時間課金に対して、実際に使用されている電力量を計量することが可能になり、正確に料金を算出することができるようになる。 従量課金に対応した充電設備は「kWh」が表示され、すでに設置・運用されている時間課金の普通充電設備は「kWh相当」が引き続き表示される。なお「WeCharge」の単価料金に変更はないという。 これまで何度か本欄でも伝えてきたが、従量課金制を導入または検討する充電サービス会社が増えてきた。経済産業省も、今後の充電器の設置口数増加を発表した際に従量課金制について検討している旨を公表している。 ガソリン車の給油と同様に、EVが電気を入れた量(充電量)で電気代を払うこと方式の普及は、EVが普及し始めたことも意味する。 さらに充電サービス各社、特に海外のEVメーカーは、充電器の最高出力を引き上げる方向でインフラ整備を進めている。今後はEVの充電も時短化されるので、今のうちに課金体系の再構築は必要なのではないか。 今後のEV充電器の普及速度、そして公平性の観点から見ても、既存の充電サービス会社は是非とも従量課金方式を導入してほしいものである。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ヒョンデ、「コナ」の予約を開始 ……コンパクトSUV「コナ」の購入予約を9月27日から開始した。予約期間は10月31日(火)までで、予約者には納車が優先的に割り当てられる。11月1日(水)〜5日(日)の間に注文確定をすると、専用アクセサリーの進呈もある。 ★★セゾン自動車火災保険、EV向けの新サービスを開始 ……サービスサイト「サ・ポ・ポ」にEVユーザー向けのサービスを追加した。購入準備に役立つ情報や充電スポットの検索サービス、EV専用ロードサービスを提供する。 ★★欧州日産、「リーフ」でイギリスの自動運転開発を支援 ……イギリス政府が出資する自動運転モビリティ研究プロジェクト「evolvAD」が開始された。日産は子会社の欧州日産を通してプロジェクトを支援。自動運転システムを搭載した「リーフ」が都市部の住宅地や地方の道路を走行するという。 ★BMW、インフォテイメント・システムを本国で刷新 ……新システム「クイック・セレクト」を備えた「iDrive」、そして「BMWオペレーティングシステム9」を2023年11月以降に発売するモデルに搭載する。EVモデルではまず「iX1」にオプションで用意されるという。 ★ダイムラー・トラック、液体水素FCVトラックの航続距離が1,000km突破 ……開発中のFCVトラック「メルセデス・ベンツ・GenH2トラック」が液体水素の充填1回で1,047kmを走行した。フルトレーラータイプの開発車両を用いて実証した。 ★新型SUV「ポールスター3」の開発が前進 ……アラブ首長国連邦で炎天下のテストを2週間実施した。車両の完成は間近だという。生産は2024年第一四半期に開始するとアナウンスしている。 ★ゼンリンデータコム、EV・PHEVデータ管理システムを開発 ……アマネとともに「イーモビログ」を開発した。車両のデータはOBD-ⅡとCAN端末から取得し、必要な機能の開発やデータ分析を実施できるようSDK開発キットの提供を開始した。提供形態はSDKとSaaSから選択可能だという。 ★再エネのノーバル、テスラの大型蓄電池を系統用蓄電池に ……テスラの産業用大型蓄電池「メガパック」を導入し、東京電力管内の系統用蓄電池として活用する。本事業は東京都の「系統用大規模蓄電池導入促進事業」に採択された。 ★EVとクラシックカーのコラボイベントが開催 ……再生可能エネルギー事業のノーバルホールディングスが11月5日(日)に開催する。対象車両は1980年以前に作られたクルマとEV・FCV。会場は「テスラ・スーパーチャージャー」の設備がある同社の駐車場<茨城県つくば市>。 ★エネオス、EV充電でキャンペーン ……「ENEOS Charge Plus」の利用時に、10分1口でAmazonギフトカードの抽選に応募できる。期間は2024年1月14日(日)まで。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.28]

TAG: #THE視点 #充電インフラ #国内ビジネス
TEXT:烏山 大輔
ヒョンデ、新型電気自動車「コナ」の予約受付を開始、予定価格は税込400万円から

ヒョンデは9月27日、11月に発売を予定しているバッテリー電気自動車(BEV)の「コナ」の予約受付を開始した。 4グレード展開で予定価格は400万円から 発表された日本でのグレードと予定価格帯(税込)は以下の通りだ。 Casual:400万円~420万円 Voyage:450万円~470万円 Lounge:480万円~499万円 Lounge two-tone:480万円~499万円 1-2ヶ月後の発売予定にもかかわらず「予定価格帯」としているのは、円相場の動きを警戒したものだろう。今後の「確定」価格発表を待ちたい。 仮にCasualグレードが400万円だった場合、コナは給電機能(V2H/V2L)を有し、国からは65万円の補助金が見込めるため、実質335万円で購入可能になるだろう。 東京都民の場合は、都からさらに45万円の補助金が期待できるので290万円になる。自宅に太陽光発電設備がある場合はさらに30万円がプラスされ、合計140万円も安くなり、260万円で購入できる可能性がある。 ボディカラーは落ち着いた色のモノトーンが6色、ツートーンのみビビッドな黄色や赤が選択できる。 駆動方式はフロントにモーターを搭載したFWD(前輪駆動)のみだ。 バッテリーは2種類 Casualは48.6kWh、その他のグレードには64.8kWhの容量を持つバッテリーが搭載される。 一充電走行距離の発表はなかったが、同じくヒョンデのBEVであるアイオニック5の数値(※)を参考にすると、おそらく48.6kWhは415-440kmほど、64.8kWhは550-580kmほどと推測できる。 Casualとその他グレードの価格差は50万円だ。プラス100kmの「航続距離」という安心を50万円で入手できる。 ※:アイオニック5もバッテリー容量が2種類あり、一充電走行距離をバッテリー容量で割ると、いずれも電費は約8.5km/kWhになる。コナはアイオニック5よりも200kgほど軽いので、多少の上振れを考慮して推計した。

TAG: #KONA #コナ #ヒョンデ
TEXT:加藤 ヒロト
見た目は大事!ホンダの電気自動車「e:NP1」がスタイルキープのためにとった工夫とは

前回はe:NP1/e:NS1の成り立ちを紹介した。今回はこのクルマをより詳細に見ていく。 e:NP1は前輪駆動のみで2グレードの展開 広汽ホンダ 「e:NP1」/東風ホンダ 「e:NS1」は基本的にまったく同じ仕様、まったく同じグレードと販売価格、そして少し異なるエクステリアで展開されている。ゆえに今回試乗したのはe:NP1だが、これから書くことはすべてe:NS1と共通している。 まずはボディサイズだが、全長4,388mm x 全幅1,790mm x 全高1,560mm、ホイールベース2,610mmということなので、ヴェゼル(中国仕様)の全長4,380mm x 全幅1,790mm x 全高1,590mmとほぼ同じだ。ホイールベースももちろんまったく一緒となる。 一方、車両重量は同じベースグレード同士で1,296kgから1,652kg(68.8 kWhモデルは1,683kg)へと増加しているため、BEV(バッテリー電気自動車)特有の駆動用バッテリーを搭載する分として350~390 kgほどヴェゼルよりも重くなっている。 パワートレインはモーター出力182ps/バッテリー容量53.6 kWh、そして204ps/68.8 kWhの2種類となる。中国独自のCLTC方式で計測した航続距離は前者が420 km、後者が510 kmを誇る。ちなみにどちらも前輪駆動で、ヴェゼルに存在するような四輪駆動モデルは設定されていない。 

TAG: #e:NP1 #e:NS1 #ホンダ
ホンダ・クラリティFCEV(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏
「ホンダ・クラリティFC」で水素の燃費を実測……エンジン車より良いのか悪いのか!?

燃料電池車「ホンダ・クラリティFC」で「ジャパンEVラリー白馬2023」へ参加した筆者が電費を計測。はたしてFCEVはガソリン車に比べてお得といえるのだろうか。 イベント終了、無事帰還できるか 「ジャパンEVラリー白馬」の模様は前回で締めたわけだが、最後に肝心なことをレポートしなければならない。白馬村から自宅まで「クラリティ FUEL CELL」で帰らねばならないのだ。 バッテリー式EVの充電インフラに比べてまだまだ無いに等しい状態の水素の充填インフラである。無事に帰還することができるのだろうか。 イベントの試乗などに使用し街乗り燃費を測定 帰路の基本的なルートは往路と一緒だ。イベント終了後「白馬五竜」の駐車場を出て、まずは約50km先の長野の水素ステーションを目指す。 「白馬五竜」の駐車場からステーションまでのおよそ50kmの燃費は196km/kg。これまでの最高燃費を記録している。50km/hの道路を順調に走行できたからだろう。およそ5kg入るクラリティの水素タンクが満タンなら約1,000km走れることになる。 チャージ前の航続可能距離は414kmを示しており、数字上では自宅まで無事に帰れる。しかし渋滞などを考えると、およそ220km先の自宅最寄りの水素ステーションまでそのまま走るのは不安であるため、予定通り水素をチャージすることにした。 ここでは1.78kg入った。金額にして2,153円。一昨日このステーションで水素を入れて、白馬まで行き、試乗車として使用し、会場から宿の足などに使われ、最終日にこのステーションまで走行した距離は184km。燃費は大幅に下がり103km/kgとなった。普段街乗りで酷使する状況の参考値と言えるだろう。 ちなみに筆者の充填中、またまた珍しく次のお客さんが来た。旧型の「トヨタ・ミライ」である。やはり店員も驚いていた。また2台重なるなんてと。 電動車であるFCEVも渋滞には弱い チャージを終えると一般道を少し走り、須坂長野東ICから上信越道に入る。復路は日曜日午後ということもあり、故障車を原因とする渋滞や自然渋滞などにはまる。 途中トイレ休憩を兼ねてハイウェイオアシスのある藤岡PAに寄り関越道に入る。関越道でも何か所か渋滞にはまった。目指す練馬水素ステーションの営業時間内にたどり着くのは絶望的となる。 航続距離的にはそのまま自宅まで帰っても問題ないのだが、EVラリーでの実燃費を計りたかった。 結局、関越自動車道練馬ICに着いたのは18時45分。練馬のステーションは18時に閉店してしまうので、結局帰路当日水素を入れることはできなかった。仕方がないのでその日は自宅に直帰し、翌24日に練馬のステーションで水素をチャージした。 長野で充填してからの距離はおよそ231km。燃費は125km/kg。航続可能距離は385kmを表示していた。ここで1.93kg入れて会計は2,335円。航続可能距離は629kmを表示していた。 復路は下りが多いので往路(128km/kg)より良い燃費になるだろうと期待したが、悪い結果となった。渋滞が主な原因だろう。

TAG: #THE視点 #燃料電池車(FCEV) #電費計測
TEXT:加藤 ヒロト
ホンダ「ヴェゼル」ベースのEVで中国ではすでに2世代目!「ホンダe:NP1」ってどんなクルマ?

日本でホンダの電気自動車といえば「ホンダe」のみだが、中国ではすでにヴェゼルベースの「2代目」の電気自動車が販売されている。この事実からも中国のBEV(バッテリー電気自動車)の普及の早さを感じる。中国でホンダ製EVはどんなクルマに仕上がっているのだろうか。 中国におけるホンダの立ち位置 ホンダは2023年4月、自社が掲げるEV政策のアップデートを発表した。以前は「2040年までにEV・FCEV(燃料電池車)の販売比率100%」としていたのを、「2035年までにEVの販売比率100%」へと変更、実質的な前倒しとなったことになる。 これには中国市場において急速的に拡大する電動化需要が裏にあり、そこで培った経験を世界中の市場へ広げる狙いがある。なので、中国市場はホンダのBEV(バッテリー電気自動車)事業にとって起死回生のチャンスを図る存在と言っていいだろう。 ホンダのBEVと聞くと、日本では2020年に発売されたコンパクトカーの「ホンダe」が真っ先に思い浮かぶだろう。実際のボディサイズはコンパクト感があまりないが、それでもパッケージングや乗り味、そして実際に走る際の制御はとても完成度が高い。 日本であまり売れている印象がないのは、まだ多くの人がBEVの価値は「航続距離」にあることを重視しているからかもしれない。その観点から考えるとホンダeの航続距離259km(WLTC)で495万円とは「コスパがいまいち」と考えてしまうのだろう。 初代「ヴェゼル」ベースのBEVは評価いま一歩だった 一方、中国では2018年より小型SUV「ヴェゼル」をベースとしたBEVを数モデル発売している。ここで軽く、中国独特の販売スタイルをご紹介しておきたい。 ホンダは中国において広州汽車との「広汽ホンダ」、そして東風汽車との「東風ホンダ」の2つの合弁会社を通じてホンダ車の生産と販売を中国国内でおこなっている。トヨタやフォルクスワーゲンなどと同様、ひとつの車種をデザインと車名を変更した姉妹車としてそれぞれの合弁会社から販売する形態だ。例えば、広汽ホンダの「フィット」は東風ホンダの「ライフ」、「インテグラ」は「シビック」、「アコード」は「インスパイア」、「ヴェゼル」は「X-RV」となる。 ホンダは今まで広汽ホンダの「理念」ブランドより「VE-1」、東風ホンダの「思銘」ブランドより「X-NV」「M-NV」といったBEVをリリースしてきており、そのどれもが初代ヴェゼルをベースとしている。だが、初代ヴェゼルの登場は2013年、そしてこれらのBEVの登場は2018~2020年となるため、設計がやや古いことは否めないだろう。 それもあってか初代ヴェゼルベースのBEVたちは市場においてそこまでプレゼンスを発揮できずにいた。今でも廉価モデルのBEVとしてひっそりと販売されているが、爆発的に売れているわけでもない。

TAG: #e:NP1 #e:NS1 #ホンダ

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