使える回生ブレーキ「D AUTO」
減速時に運動エネルギーを電気に変えて航続距離を伸ばす回生ブレーキ。上手く使えばドライバーの負担を減らせるため、その善し悪しがクルマの評価を左右することもある。もちろんEQBにも回生ブレーキ機能は備わっていて、その強さをステアリングホイールのパドルで選ぶことが可能だ。
回生ブレーキの強さは、標準の「D」に対して、弱めの「D+」、強めの「D-」、そして、走行状況に応じた最適な減速が得られる「D AUTO」の4段階。どれを選んでも、回生ブレーキだけでクルマを停止することはできず、最終的にはブレーキペダルを踏んで停車させる必要がある。
標準のDでも十分な減速が得られ、通常の運転ならアクセルペダルの操作だけで速度調整が可能だ。D-ではさらに強めの回生ブレーキが効くが、アクセルペダルの動きに敏感に反応するぶん、扱いにくく思えるかもしれない。一方、D+はかなり弱く、エンジン車の感覚で運転したい人にはお勧めである。
パドルの一方を長引きするとD AUTOに切り替わるが、これがなかなか優秀。レーダーが捕らえた先行車両との距離や、登坂・降坂といった走行状況に応じて、システムがコースティング(惰力走行)から強めの減速まで、最適な強さで回生ブレーキをかけてくれるのだ。微妙なアクセル操作は不要で、ドライバーはアクセルペダルから足を離すだけでいい。
たとえば、交通量の多い道路を走行中、先行車との間隔が詰まってきたときにこれを使えば、適度な車間距離を保ってくれる。とくに、アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック(いわゆるアダプティブクルーズコントロール)を使用すると車間距離が空きすぎる場面では、より狭い車間距離を維持しやすいのがうれしいところだ。ただ、先行車がない場合はコースティング(惰力走行)するので、カーブで減速したいときや、先行車がいない状態で信号で止まろうとしても回生ブレーキが働かないのは要注意。その場合はDやD-に切り替えるか、フットブレーキを使う必要がある。それでも、“IQ高め”のD AUTOは、回生ブレーキをあまり意識しなくても有効利用できるという点で、かなり便利な機能といえるだろう。
Mercedes-Benz EQB 350 4MATIC
全長:4,685mm
全幅:1,835mm
全高:1,705mm
ホイールベース:2,830mm
車両重量:2,180kg
前後重量配分:前1,070g、後1,110kg
乗車定員:7名
交流電力量消費率:163Wh/km(WLTCモード)
一充電走行距離:468km
システム最高出力:215kW(292ps)
システム最大トルク:520Nm
フロントモーター最高出力:143kW/5,800-7,600rpm
フロントモーター最大トルク:370Nm/0-3,600rpm
リアモーター最高出力:72kW/4,500-14,100rpm
リアモーター最大トルク:150Nm/0-4,500rpm
バッテリー電力量(NET):66.5kWh
モーター数:前1基 後1基
トランスミッション:1速固定
駆動方式:4WD
フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット式
リアサスペンション:マルチリンク式
フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク
リアブレーキ:ディスク
タイヤサイズ:235/45R20
最小回転半径:5.5m
荷室容量:110L
車体本体価格:9,060,000円